【MB2025-229】知性の罠(デビッド・ロブソン)

 デビッド・ロブソンの『知性の罠』。重要なのは、
・目の前の事象に対して、好奇心を持つ。
・問題が起きた時に修正できる知的慎重さを持つ。
・反対意見にも公平かつ真摯に耳を傾けるオープンマインドを持つ。
といった点。この3つを持つことは、プライドを捨てることになる。しかし、それで重大な事故や損失を回避できるなら、プライドを捨てるべきである。何かを持つことは、何かを捨てることと同義である。知性の落とし穴を避けるための思考習慣。日常や仕事での意思決定を改善する視座を与えてくれる一冊であった。

f:id:montedio2024gotoj1:20251217173513j:image

【MB2025-228】資本主義にとって倫理とは何か(ジョセフ・ヒース)

 ジョセフ・ヒースの『資本主義にとって倫理とは何か』。曖昧なお説教と批判されがちなビジネス倫理に対し、経済学や政治哲学を踏まえた体系的理論の重要性を示す。著者の「市場の失敗アプローチ」は実践的指針を与え、人文学徒向け経済学入門としても機能する。さらに倫理学と経済学を架橋し、資本主義や市場を明確な規範的根拠から論じる点で、学生から研究者、実務家まで幅広い層に示唆を与えてくれそうであるものの、自分には読み進めるのに苦労した一冊であった(単に自分の理解が追いつかないだけであったが)。

f:id:montedio2024gotoj1:20251217173412j:image

【MB2025-227】『種の起源』を読んだふりができる本(更科功)

 『『種の起源』を読んだふりができる本』。魅惑的な書名である。しかし、読んだふりどころか、『種の起源』の要点を理解するのに大いに役立つ有意義な一冊。この本では、ダーウィンを神話化も反神話化もしない姿勢にある。十九世紀のイギリスにおいて『種の起源』が神学書としての衣をまといながら、同時に科学書としての検証可能性を主張したという二重性を、著者は歴史的文脈の中に置き直す。進化の仕組みは「自然淘汰」「用不用」「生活条件の直接作用」と「習性」の4つの概念で、それぞれの解説もわかりやすい。

f:id:montedio2024gotoj1:20251217173226j:image

【MB2025-226】不機嫌ばかりな私たち(渡辺満里奈)

 個人的にはおニャン子クラブよりも仮面ノリダーの印象が強い渡辺満里奈。どうしてこの本を予約したのかは定かではない。てっきり奥様から頼まれたのかと思いきや、そうではなかった。そんな不思議な状態で読むこととなった『不機嫌ばかりな私たち』。さっそく更年期の話から始まるが、「苦手な片づけ」や「理想の歳の重ね方」などは非常に共感できた。見た目はそこそこ保つように努力しながら、何よりも学びを続けることが大切だと思っているとのこと。田中茂樹臨床心理士との子育てについての対談は興味深く読めた。

f:id:montedio2024gotoj1:20251210221118j:image

【MB2025-225】国際情勢を読み解く技術(黒井文太郎・小泉悠)

 黒井文太郎と小泉悠という面白そうな組み合わせ。その対談集が『国際情勢を読み解く技術』。アカデミズムとジャーナリズムのそれぞれで軍事問題を専門とする両氏が、米国やロシア、ウクライナ、中国、北朝鮮など日本で関心が高い国際情勢を対談形式で解説している。日本は敗戦国ということもあって情報の収集・分析(インテリジェンス)や対外情報活動において抑制的であり、信頼性が高い研究者も少ないのが実情だった。それ故に政治的に大きな偏りのない立場から、情報戦や認知戦の実態を紹介した貴重な一冊である。

f:id:montedio2024gotoj1:20251210073306j:image

【MB2025-224】GROWTH(ダニエル・サスキンド)

 私たちはなぜ成長にこだわるようになったのか。『GROWTH』でサスキンドが鋭く解説する。私たちが成長を当たり前の目標だと思うようになったのは、実は人類の歴史から見ればごく最近のことだと指摘する。成長をめぐって、世界は「脱成長派」と「成長停滞派」の二つの意見に大きく分かれている。しかし、アイデアこそが無限のエンジンであると強調する。成長の方向転換として、もっと良いアイデアを生み出す仕組みを作ること、何を成長させるか私たちが道徳的に決めること、を成長の道しるべとして提示している。

f:id:montedio2024gotoj1:20251209204414j:image

【MB2025-223】令和ファシズム論(井手英策)

 日本とドイツの財政史とファシズムの条件を比較しつつ、現代日本の政治混迷と財政民主主義の危機を論じる『令和ファシズム論』。著者は、将来不安が社会分断を生み、アベノミクスMMTに依存した財政膨張が非常手段の恒常化を招く危険を指摘する。大内兵衛の戦前への警告を踏まえ、財政の核心は財源論であり、必要な支出と負担を民主的に議論することが暴走を防ぐ唯一の道だと説く。SNS時代の「論破」文化は少数者の圧力で多数を沈黙させ、財政ではなく「社会」そのものの破綻を招きうると警鐘を鳴らしている。

f:id:montedio2024gotoj1:20251209165306j:image