2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【MB2024-019】政治家 石橋湛山(鈴村裕輔)

戦前は著名な言論人として東洋経済新報の社長を務めた石橋湛山氏。戦後、1956年の自民党総裁選にて決選投票での2位・3位連合による勝利で本命1位の岸信介を破り首相の座に就いたが、その劇的な勝利よりも病のため在職65日で退陣したことの方が有名である。…

【MB2024-018】異邦人のロンドン(園部哲)

ロンドン。新婚旅行でドイツからの帰路でトランジットで立ち寄っただけで、足を踏み入れたことのない街。そんなロンドンが舞台な「異邦人のロンドン」。ロンドン在住歴30年余りの日本人作家が暮らしの中で見聞きしたよそから来た人たちのルポ。この街には、…

【MB2024-017】アラブとイスラエル(高橋和夫)

ウクライナ戦争に続き、勃発したイスラエル・ガザ戦争。この地域は複雑な歴史があることは認識しつつも、詳しくは理解していなかったため、古い本ではあるが「アラブとイスラエル」で今さらながら勉強した。イスラエル・ガザ戦争だけではなく、イスラエルとU…

【MB2024-016】楽園の犬(岩井圭也)

馴染みのある苗字の作家というだけで応援している岩井圭也氏。前回の「完全なる白銀」は自分の好きなジャンルである山岳小説ということで読んだが、今回はどんな小説なのか。題は「楽園の犬」。ハチ公か、などと想像を膨らましてみたが、いい意味で裏切られ…

【MB2024-015】証言 落合博満(山本昌他)

今年は龍年。そろそろドラゴンズも眠りから覚めてほしいと思う今日この頃。あの強かったドラゴンズが懐かしい。そんな思いを抱いた矢先に本屋で見かけた「証言 落合博満」。そう、8年間で4度のリーグ優勝、1度の日本一、8年すべてでAクラスだった落合竜…

【MB2024-014】神(フェルディナント・フォン・シーラッハ)

個人的に大好きなドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハ。いつもながらに難しいテーマを今回も取り扱っている。そのテーマは「神との関係性における安楽死」。キリスト教信者のみならず、他の宗教信者に対しても、安楽死の本質とは何かを問いか…

【MB2024-013】アウトプット思考(内田和成)

アウトプット思考。よくありそうな思考術の類であり、一種のハウツー本。ここですべての考え方を網羅することはできないが、特に現場に足を運び、様々なプロフェッショナルと「雑談」することが重要であるということや、雑談を重ねるうちに、経験や知識が積…

【MB2024-012】青春をクビになって(額賀澪)

夢にどう決着をつけるのか。無給のポスドクが本来没頭したい研究を続ける夢と仕事に困る現実に苛まれる現実。この折り合いをどう付けるのか。ポスドクらが置かれた環境の厳しさをノンフィクションのようなリアルさで描いた「青春をクビになって」。主人公は…

【MB2024-011】夜間旅行者(ユン・ゴウン)

韓国人気作家の日本初上陸作品である「夜間旅行者」。災害ツアーという奇妙な商品を企画・提供する韓国ツーリズム会社に勤務する女性が物語の主人公。会社に10年勤続するも燃え尽きかけた主人公ヨナ。退職勧告代わりの休暇で会社の災害ツアーモニターとして…

【MB2024-010】安倍晋三と日本の大戦略(マイケル・J・グリーン)

安倍派を手始めに自民党が大変な事態に陥っている安倍晋三氏亡き現在。安倍氏の功績を確認すべく手にした「安倍晋三と日本の大戦略」。日本の安全保障政策の専門家である米国人著者が安倍氏の手腕をどう評価しているのか、非常に興味があった。冷戦後の歴代…

【MB2024-009】合理的にあり得ない(柚木裕子)

ドラマにもなった「合理的にあり得ない」。柚木裕子さんは山形市在住ということで気になっている作家。「慈雨」を読んで以来の読破であった。殺しと傷害以外は依頼を受けるクールな二人組男女のなんでも屋。連作短編で「○○的にありえない」が各章のタイトル…

【MB2024-008】東京駅・大阪駅であった泣ける話(水城正太郎他)

自分が以前工事を担当していた東京駅。大ターミナル駅のため、さまざまな物語の舞台となるが、そんな駅を舞台に人生の分岐点を描く12編のアンソロジーがこの短編小説集。東京駅と大阪駅。ある人は再会のため、ある人は別れをするための舞台となっている。中…

【MB2024-007】50歳からの男の嗜み(生和寛)

自分が50歳の大台にもうすぐ到達することから、今後のことを踏まえて読んだ一冊。著者が生涯を通して、愛してやまなかった9つの趣味。ワイン、サーフィン、セカンドハウス、園芸、フィットネス、山歩き、ファッション、車、レストラン。こんなに多趣味な人間…

【MB2024-006】ぼくはあと何回、満月を見るだろう(坂本龍一)

昨年の3月に71歳で亡くなった坂本龍一氏(以下、「教授」とする)が、闘病中の2022年2月から10月にかけて、編集者の鈴木正文氏を相手に2009年以降の歩みを口述した本書。YMOで一世を風靡しながら、奇しくも高橋幸宏氏に続いて教授までもが逝ってしまう…

【MB2024-005】アフターChatGPT(山本康正)

公開後、瞬く間に世界中から注目を集めたChatGPT。ChatGPTをはじめとする生成AIが、なぜ今登場したのか。そして、それを活用したビジネスはどのように変わるのかをわかりやすく解説している新書。さまざまな切り口で生成AIの今後の行く末…

【MB2024-004】源氏物語入門(高木和子)

今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」を観る前にまず理解を深める必要のあった『源氏物語』。まずは入門書からと思い読んだ『源氏物語入門』。千年読み継がれてきたその魅力を平易に解説している。好色・多情で一面では不誠実にしか見えない光源氏だが、権力…

【MB2024-003】千住宿(小杉健治)

千住宿。奥州街道、日光街道の初宿であったこの宿場町で、以前自分が北千住で仕事をしていた関係から興味を持って読んだ時代小説。しかし、失敗だったのは本作品はシリーズ3作目であり、以前の作品を読んでいないため、登場人物の人間関係がわからないまま読…

【2024-002】教養を磨く(田坂広志)

初めて読んだ田坂広志氏の著書。何かの書評で参考になると紹介があり手にした新書。この本で再認識したこと。まずは、人生で起こることはすべて良いことであり、それは自分を成長させるために最適なタイミングで出てくるということ。そして、死を意識するこ…

【2024-001】富士日記の人びと(校條剛)

元旦綺麗な富士山を眺めることができた。てっきりそんな富士山の山小屋での暮らしを綴った日記の感想本かと思って読んでみた一冊。ところが、舞台は富士山麓の別荘。作家武田泰淳の妻・百合子が富士山麓の山荘での日常を昭和39年から13年間にわたり記し…