2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧
『ほんのささやかなこと』。アイルランドの地域社会と宗教、その複雑で特殊な地域性を大いに感じた中篇小説である。クリスマスまでの数日に劇的に展開されるストーリーは、まさしく政治的著作を芸術にまで昇華させた内容となっている。現実を小さく切り取っ…
この本は時間をかけてじっくり読んだ。ホロコーストを生き延びた貴重な自伝である『アウシュヴィッツの小さな厩番』。収容所での過酷な経験が赤裸々に綴られており(書名にある厩番の話は少ししか出てこないが)、ホロコーストの残虐な状況に言葉を失う。戦…
キャリアブレイク。個人的にはあまり馴染みのない言葉であったが、「一時的に雇用から離れる離職、休職など、キャリアの中にあるブレイク期間のこと。欧州やアメリカでは一般的な言葉」を指しているという。そんなキャリアブレイクの有効性を記したのが、こ…
『弱い円の正体(仮面の黒字国・日本)』。この本は大いに参考になった。「米国の金利が低下すれば(ドル安になり)大きく円高へ傾く」という通説に異議を唱えるとともに、「今後は円の安さを主軸として、日本の教育水準の高さ、治安の良さ、経済規模の大き…
この20年で低下した現場力をアップデートしなければならない。そのための方策を示す『新しい現場力』。示唆に富んだ内容が数多くあるが、その一例として「新しい現場力」のポイントとして以下の5つを挙げている。①「厄介な問題」に対応する②「つながる力」…
『生きることは頼ること』。自己責任(強い責任)の構造を説明した上でその構造的欠陥を語り、さらにそれに対して著者が提唱する弱い責任をどのように実現するか。「弱い責任とは、自分自身も傷つけやすさを抱えた弱い主体が、連帯しながら、他者の傷つきや…
「ひと老いて何のいのりぞ鰻すらあぶら濃過くと言はむとぞする」とは斎藤茂吉の歌である。たくさんの短歌、文学、映画とユーモアを交え、死ぬということを医学的に、実務的に、文学的に書かれた医学的生死論である『死ぬということ』。書名から重いテーマを…
『有害な男性のふるまい』。いろいろと学びが多い一冊であったが、内容が内容なだけに、ChatGPTに投げ掛けてみた。同書は男性社会での有害なマスキュリニティの根深さと、その影響が多方面にわたることを鋭く指摘した作品である。男性が無意識に行う行動や発…
どうしても個人的にはドイツからの視点になってしまうが、19世紀から20世紀にかけて70年間に3度の戦争を繰り広げた独仏。両国の和解の歩みを描き出した新書である『独仏関係史』。独仏関係を重視したのはフランスであり、フランス側の資料が多いという点は新…
『すごい言語化』。実践できたら凄いんだろうと思い、読み進めた。「伝えたいことがあるのに言葉が詰まる」「会話の途中で言いたかったことを見失う」。そのような悩みを解決する言語化の型を言語化のスペシャリストである著者が解説する。大事なのは日本語…
『現代ネット政治=文化論』。今では欠かせないインターネットの浸透により、政治と文化に大きな地殻変動が起こった現実を考えさせられる一冊。著者は動画・共感ベースのコミュニケーションでは「創造性が低下する」と指摘する。脱社会(萌え)でも反社会(…
フランス人著者が展開する『ヨーロッパの地政学』。地理学で欧州とは「大西洋からウラルまで」とするのが通説のようだが、著者はロシアを欧州に含めていない。ヨーロッパの起源やアイデンティティの形成が地政学的変遷や経済・政治にどのような影響を与えた…
ロシアからの侵略の憂き目に遭っているウクライナ。知っているようで知らないウクライナという国家。ウクライナを学ぼうと読んだ『ウクライナ全史』。まずは上巻を読んだ。ウクライナとは何か。ウクライナ史を研究する著者はフロンティアと答える。森林と草…
『うつ病〜隠された真実』。抗うつ剤の効果はさほど確立されていないという事実。特に「セロトニン欠乏説」などの通説が、科学者の間では無根拠だと思われていることを知り、著者は衝撃を受ける。そして、うつ病の「生物学的」な要因から、次第に「心理的」…
スポーツで成功を収めた『勝者の科学』。ポイントは3つ。選手に権限と責任を与える、考えすぎは仇となる、実利主義が創造性を壊す。例えば、ヨハン・クライフ。勝つことが第一の動機ではなく、チームがどうプレーをするかを最も重要視していた。プロのサッカ…