【MB2024-056】東京都同情塔(九段理江)

 シンパシータワートーキョー改め『東京都同情塔』。言わずと知れた九段理江の芥川賞受賞作である。本来は図書館で借りて読むところであるが、時流に乗り遅れまいと、久々に書店で購入して読んだ。表題の塔は、新宿御苑にそびえ立つ美しい巨大刑務所。犯罪者は不幸な境遇で同情されるべき人々と再定義され、そこで快適な生活を送る。作者が表明したように生成AIの無機質な文章をうまく織り交ぜながら、軽快にストーリが展開される。幻となったザハ・ハディド設計の国立競技場に対する多大なリスペクトが感じ取れる。

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