2024-03-03 【MB2024-044】鉄道無常(酒井順子) 2大鉄道紀行家とされる内田百聞と宮脇俊三。この両巨頭を同時に語るのは凄いことである。「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行ってこようと思う」という内田百閒の代表作『阿房列車』や宮脇俊三のヒット作『時刻表2万キロ』を読み解きながら、読者を鉄道旅行へと誘ってくれる。東海道本線ではなくなった御殿場線の悲哀などは読んで面白かった。宮脇親子が終戦の玉音放送を米坂線の今泉駅前で聴いたというエピソードを読んで、今泉駅が米坂線の終着駅にならないことを祈りたい、そんな読後感であった。