【MB2024-021】弱者の日本史（小和田哲男）

　歴史は勝者に塗り替えられ弱者は切り捨てられる。そういった中で弱者の歴史に焦点を当てた「弱者の日本史」。古代から明治にわたってさまざまな弱者が登場する（中には弱者ではないのではと思う者も登場するが）。よく得体の知れない人物も多く、例えば鎌倉幕府の再興に執念を燃やした謎多き北条のラストプリンス・北条時行などは壮絶な人生を詳細に記述している。足利尊氏に挑み、戦場からの巧みな脱出と潜伏を繰り返し、三度の鎌倉入りを果たしたサバイバル上手な若君。こういう弱者を知るのも歴史の醍醐味である。