同じ年に産まれた國分功一郎氏の『目的への抵抗』。哲学に関する本は難しいものが多いが、多少はわかりやすかった印象である(脱線するが、國分でも、モンテディオの我が推しは「こくぶ」、このタメの哲学者は「こくぶん」と読む)。初めて名前を聞いた現代の哲学者・アガンベン。コロナ禍で発表した論考の三つの論点、「生存のみに価値を置く社会」、「死者の権利」、「移動の自由の制限」。いずれもコロナ禍を理由に強いるものではないと主張。哲学者は「チクリと刺す蛇の役割を演じる
」という著者の比喩は頷ける。
【MB2024-069】達観するヒント(名取芳彦)
『達観するヒント』。図書館の新着コーナーに陳列されていたものを借りて読んだ。もっと「気楽にかまえる」92のコツが書かれており、どれも参考になるものであった。そのうち7つほどメモしたが、その中の1つを抜粋して紹介すると、
【相手が変わらないなら自分を変えてしまえばいい】
自分の努力で相手は変わらないと納得したら、「なるようになる」「仕方がない」「次の機会を待とう」と、自分の考えを変えればいい。この方法で楽になれることは意外と多い。
こういう図書館での良書との偶然の出会いに感謝である。
【MB2024-066】科学をうたう(松村由利子)
最近少しずつ興味が湧いてきた短歌。短歌を科学という視点で詠ったものを集めた『科学をうたう』。数多くの短歌を丁寧に解説しており、それを読むことでさらに勉強になる。科学と文学とは相容れないものだと思い込んでいる人も少なくない中、科学を題材にした数々の短歌を紹介することで、科学と短歌に共通するセンス・オブ・ワンダー、短歌と言う定型詩の奥深さ、そして私たちが生きている世界の様相を伝えたい、と著者は力説する。気になった一首、「マスクしてコロナウィルスに抗へば不要不急のものらかがやく」。